世の中は天才をほっておかない。

つーわけで『ちはやふる』を読んだ。
ちはやふる (1) (Be・Loveコミックス)ちはやふる (1) (Be・Loveコミックス)
末次 由紀

講談社 2008-05-13
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百人一首競技かるたに情熱を注ぐ、高校生たちの青春・・・という話。
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断言します。今連載中のコミックで雑誌連載で大人が読んで一番面白いコミックはこれです。
『7SEEDS』も『君に届け』も『あひるの空』も『宇宙兄弟』も『キングダム』も面白いですが、これが一番です。

著者は末次由紀。過去の作品で数々のトレス疑惑が発覚し、作品が打ち切り&絶版になった漫画家です。
そこからの復活。まさに世の中は天才をほっておかないという感じでしょうか。

ストーリーは極普通。
百人一首に青春をかける高校生の、友情と努力と恋愛を描くというもの。
展開も普通、1巻最初で主人公千早がクイーン戦を戦っている。
6年前東京 まだ情熱を知らない私
さかのぼって小学生、
お姉ちゃんがいつか日本一になるのがあたしの夢なんだー ほんなのは夢とは言わんよ 自分のことでないと夢にしたらあかん
千早が転校生新に出会い
かるたでは 日本で一番は 世界で一番
という百人一首の魅力に憑かれるところから話は始まる。
意外な展開なんて1つもない。
天才と努力家がいるという形もありきたり。

それなのに最高に面白い。
登場人物全員が魅力的で、セリフの言葉選びがすごくうまい。コミックも、邦画も設定が出尽くしている感のある昨今。それでも、登場人物のキャラと言葉が良ければ充分に読む見るに耐えうる作品ができることを証明している。
少年誌にありがちのチープな友情・チームワークではなく、全てが報われるなんて努力ではなく、少女コミックにありがちな薄っぺらい恋愛でもない、もやもやした友情・努力・恋愛が描かれている。
とにかくさいきょーです。最初にラストを見せるという、ドラマでよく見る構成をとっているので、終わり方で評価が分かれることがないのも魅力の1つ。
コミックをあまり読まない全ての人、ワンピースの友情・涙に満足してしまっている人におススメ。

以下本書より―
”青春ぜんぶ懸けたって強くなれない”? まつげくん 懸けてから言いなさい

じゃあ恋ってどんなのよ
それはな― そいつといても楽しくないってことだよ

でもおれは 仲間にするなら かるた”天才”より 畳の上で努力し続けられるやつがいい

泣くな おれはまだ 泣いていいほど懸けてない ”悔しい”だけでいい

きついな 一生懸命って・・・ 言い訳がきかねえよ

やりたいことを思いっきりやるためには やりたくないことも思いっきりやんなきゃいけないんだ

悔しさの賞味期限は長くない ときどきはちゃんと報われることがないと 続けられない

なんだっていい かるただってなんだって なにかを大好きになってほしい 自分を大好きになってほしい

おれたちの武器は 原田先生がいてくれることだ がんばれと言わずがんばってくれてることだ

負けることに疲れるんじゃない 期待に応えられないことに疲れていくんだ

悔しい 悔しい あの日悔しくて良かったって いつか笑って言いたい