僕は今27歳。

1年365日、60歳まで生きるとして残り寿命は11817日。

1日だって無駄にするわけにはいかない。

つーわけで『29歳の誕生日、あと1年で死のうと決めた。』を読んだ。
29歳の誕生日、あと1年で死のうと決めた。 (オープンブックス)29歳の誕生日、あと1年で死のうと決めた。 (オープンブックス)
葉山 アマリ

泰文堂 2011-06
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恋人に振られ、派遣社員で毎日ぎりぎりの生活、容姿は醜い、将来に絶望した女が、29歳の誕生日に自分の余命をあと1年、30歳の誕生日にラスベガスで勝負をするまでと決めて・・・というお話。
意外や意外、おもしろかったです。

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1時間とかからずに読み終えてしまいました。すごく癖のない文章で、読みやすいけれど作家としてはどうなんだろうこういう文章・・・と読書中ずっと思っていました。

第1回日本感動大賞受賞作です。
この賞、なんやらようわかりません。ひとまず、オープンブックス編集長の宮川美恵子氏のあとがきを読む限りでは、一切の制限なく原稿用紙でも、便箋でもメールでもいいから感動的な実話を募集したところ1000強の応募があって、大賞となったこの作品がよかったので書籍化しましたとのことのようです。つまり、応募されたものは物語の形だったわけではなく、応募された話を原案として出版社側が編集したってことなんでしょうか。
だとすると、ノンフィクション調ということも込みでこの文章、この読みやすさ、すごく納得なのですが・・・。
ただ、「感動」と銘打って賞を作ったら、第1回はお涙頂戴モノのやっすい作品が大賞とってもおかしくなさそうなものですが、ちゃんと選んだんだなと思えるストーリーでした。

ストーリーは、
派遣社員で生活が苦しい上に、恋人も容姿も何もない29歳の主人公が30歳の誕生日に死ぬことを決意します。
死ぬ前にラスベガスで一発勝負することを目標に昼は派遣社員、夜は銀座のホステス、休日はヌードモデルで金を貯め、ラスベガスで勝負するために英語の勉強、ブラックジャックの勉強を。そして30歳の誕生日ラスベガスでの勝負は・・・
というものです。チープな気がしませんか?
俺はタイトルからチープなノンフィクションだと決め付けて読んでしまったのですが、最後意外に感動しました。
日本感動大賞バンザイ!ってな感じでしょうか。

今この本が出版されているということからも、著者が生きていることはまちがいないわけで、オチなんて2通りくらいしかないのですがそれでも元気になりました。
帯には『元気の出るノンフィクション』の文字。その通りでした。

この本の柱は
目標を決めて死ぬ気でやったら人ってなんでもできちゃうよ
というもの、と読みました。
ビジネス書みたいな感じですが、いわゆる自己啓発本的な要素を入れようという意図があるようにも感じました。

読後、自分の余命を考えてしまうこと必至です。
「余命のこと言い出したら、この本読んでる時間がもったいない!」とまでは思わない、余裕のあるすべての人にオススメです。ビジネス書を普段読まない人はぜひ。

ちなみに、第2回日本感動大賞の募集がされているようです。はがき1枚での応募のようですね。。この第1回を受けての2回目大変だな。。


以下本書より―
29歳の誕生日、あと1年で死のうと決めた。
大学も高校生活の延長のようなものだった。ただ、自由度が増しただけ。(P17)

「なんでもそうだけれど、一流とか、高級とか、そういう言葉には気をつけないとね。本質を見えづらくしてしまうから。だからこそ、経験を通じて自分のものさしを持つっていうのはとても大事なことなんだ。それは君を人の評価から解放してくれて、生きることを楽にもしてくれると思う」(P101)

なんて楽しいのだろう。緊張からではなく、楽しすぎて体が震える。脳の中でアドレナリンが放出され、ビリビリとしびれるほどの興奮を覚えている。
私は、この瞬間に酔いしれた。
そのうち、世界から音が遮断され、私はゲームの世界に引き込まれていった。(P204)

余命1年―私が私に暗示をかけたこの言葉。
それは、私にとって魔法の言葉だった。
余命とは、自分に残された時間のことだ。
私は、人生に限りがあることを意識していなかった。(P216)