先日、本谷有希子さんの文庫本を本屋で見かけ、購入した。
その際にスマホで検索し、結婚していることを知り、何故かショックを受ける。
ほぼ同時に、昔モーニングに連載されていたエッセイが最高に面白くて毎週そのコラムのためのみにモーニングを購入し、切り抜いてまでいたことを思い出した。
単行本化されていることを知り、こちらも即ネットで注文。
小学校の校庭を大学生になってから見たときの、「こんなちっちゃかったんだ」みたいな時がたってから感じる、何かちょっと違う、いや、違わないんだろうけど、こんなはずじゃないんだ。
そんな感じに思ったらイヤだなと思いつつも、購入。
こういうところがスマホの怖いところだ。ちょっと気になったことを調べる、というのは自宅にいたらほぼしない。でも、外出している時のスマホではやってしまって、その先の金を使うところまでやってしまう。

携帯電話キャリアは利用者がスマホから購入したら購入先企業からバックをもらって、携帯代を下げるというサービスをしたらいいと思う。利用者もキャリアも購入先企業も得をすると思うんですが。ポイントサイトとかよりよっぽどいいと思うんだが。

まあいい、そんなことより注文していた本が届いた。

つーわけで『かみにえともじ』を読んだ。
かみにえともじかみにえともじ
本谷 有希子 榎本 俊二

講談社 2012-08-10
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コミック誌であるモーニングでの3年半の連載をまとめました著者初エッセイ集・・・という本。



本物の面白エッセイ集。本谷有希子氏エッセイと榎本俊二氏イラストで構成されています。
時間たってからもう一回読んでがっかり・・のパターンにはならなくてよかったです。2012年の最初まで連載されていたようなので、まだ最近と言えば最近ですが・・・。
個人的には著者の小説はあまり合わないんですが、エッセイはドハマりしました。
エッセイと言っても、ダヴィンチの方の連載ははそこまでだったんです。(もちろん好きで、購読もしてましたが)
そういう意味ではイラストを描いている榎本俊二氏のチカラもすごいのかもしれません。文章を読んだ後に見るイラストのおもしろさったら、もうたまらんのですよ。

本谷エッセイの魅力は、自分でも認識している自意識過剰っぷりと情緒不安定っぷり。
2008年〜2012年の連載の本書ですが、2010年までのエッセイが本当にキレっキレです。

人に認められるのが大好きだ、と言った後、全ての挨拶が「認めまーす」でいいんではないか?と言ってみたり、

自分のことを重要視しなかった人がいたとき、地獄の門番になりたい。地獄行きか天国行きかの決定権が自分にあって、みんな死んだ後にそのことを知って「あの時雑に扱わなきゃよかった」と思われたいと言ってみたり、

恐妻家の話から、経済的にも彼の稼ぎで支えてて、肉体的にも本気出したら殺せるだろうに、何で女に牛耳られてるのか不思議がったり、

「妊婦は、子供が不細工に生まれたらどうしようとか考えないんですか?」と、おおひなたごうさんの奥さんにしつこく聞いて、奥さんがあとで「本谷さんは狂ってるの?」としきりに確認していたらしい、というエピソード

などなど、とにかくキレっキレなのだ。
全体的には、人との距離の取り方と舞台がいかに大変かの話が多く、「こんなに頑張ってる私を認めて!」ということなのかもしれませんが、
いや、もうそこに目をつけるのであれば認めざるをえないっす。すっごいっす、というしかエッセイの数々。
個人的に好きなのは、ファミレスで店員をピンポンで呼ぶのはどうなのだろうという内容のタイトル「ファミレス」。ぜひ。

あと、本の帯の「○○氏絶賛!」とか本当に信じている人いる?っていう話しといて、最終ページに「筒井康隆氏、激賞!」とある本谷氏の新刊紹介とかいいなあと。


著者は?

本谷 有希子(もとや ゆきこ、1979年7月14日 - )は、日本の劇作家、演出家、女優、声優、小説家。石川県出身。「劇団、本谷有希子」主宰。(wikipediaより)
ホームページあります。
本谷有希子HP



まとめ

エッセイ読むの嫌いじゃない全ての人におススメです。
著者とは親しくなれない気はしますが、本書を好きっていう人とはいい関係が築けそうな気がします。


本書より

冬という季節にうっとりしてみるなんて、心が荒んでいたら絶対にできない。しかし今の私はうっかりすれば、道に落ちているゴミだって「かわいいね」と抱きしめられるんじゃないかな。(P20)

榎本画伯は「ちょーっす」という舐めた態度と、「ふへぇへぇ・・・」とでも言っているかのような自虐的笑いを足して割ったような佇まいで稽古場にやってきた。(P52)