好きなことを仕事にすべき。
好きなことは趣味にしておくべき。

どっちも間違ってはいないと思うけれど、
最低でも今やっていることは好きです、といえる大人でありたい。

おおきくなったらなんになる? 』を読んで、改めてそう思った。
(「ぼくはおひゃくしょうになる」で始まり、「そしてぼくはおとうさんになる」「わたしはおかあさんになる」で終わるのはどうなんだろうとも思ったけれど。)

ウソでも「好きなことを仕事にしてます!」と笑顔で言っている人はやっぱりかっこいい。

つーわけで『「好きなこと」を「仕事」にしよう』を読んだ。
片山正通教授の「好きなこと」を「仕事」にしよう (CASA BOOKS)片山正通教授の「好きなこと」を「仕事」にしよう (CASA BOOKS)
片山 正通

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武蔵野大学教授であり、インテリアデザイナーの片山正通氏による特別講義「instigator」の書籍化。様々なジャンルのトップクリエイターとの対談・・・という本。



Graffiti Nihongo, Cute
Graffiti Nihongo, Cute / zayzayem

僕がいま大学生だとして、どんな話を聞いたら
これからの人生が有意義な時間に変わっていくのだろう?
その疑問に対する僕なりの思いが、この対談形式の特別講義となっています。(P2)
確かに学生の時に読んでいたらまた違ったかもしれませんが、社会人の人も充分に参考になり、熱くなれる内容になっています。

対談相手
佐藤可士和/クリエイティブディレクター
中田英寿/。一般財団法人「TAKE ACTION FOUNDATION」代表理事・旅人
NIGO/クリエイティブディレクター
本広克行/映画監督・舞台演出家
名和晃平/美術家
みなさん仕事上で片山氏と関わっている人ばかりで、打ち解けた雰囲気全開のため、内容の濃い対談になっています。
上記人たちのファンの人、上記の人たちの作り上げた作品が好きな人は間違いなく楽しめます。


本広克行さんがかっこいい

みなさん魅力的なのですが、個人的にファンである本広克行氏を紹介。
私の映画ベスト5には入る『サマータイムマシンブルース』の監督です。
この監督がすごいのは、『サマータイムマシンブルース』という地味な作品を撮っていながら、『踊る大捜査線』シリーズの監督をやったり、AKB48の『Everyday、カチューシャ』のPVの監督をやったりしていることです。
オーナーズ映画は出資者の意向に沿って、ヒットさせるために自分の意向を削ることが多々あります。
として『踊る』は僕の中では究極に大ヒットしているオーナーズ映画と言い切る姿勢も素敵すぎます。
織田裕二から推薦されて『踊る大捜査線』をやって、そして地位を築いてから、『サマータイムマシンブルース』という名作を作り、規模が大きくなるとできないことが多いため、舞台でも活躍する。かっこよすぎです。
本書では上野樹里を『のだめ』に推薦した話など映画絡みの話もあり、本広監督ファンにはたまらないものになっています。
もちろん、ファン云々関係なく、クリエイターとしての話が中心ですが。
本広監督と一緒に仕事した人がいい作品を撮っていたり、いい作品に出演していたりという話でブレイクする人の共通点が、よく聞くことながら改めて心に留めておきたいと思いました。
みんな自分があります。たとえばぼくが監督で羽住が助監督のときも、対等なんです。「監督はそういうけど、オレだったらこうします」って、意見を入れてくる。(P200)


まとめ

タイトル『「好きなこと」を「仕事」にしよう』が絶妙です。
当然ながら本文で「今の仕事好きですか?」みたいな話が出てくるわけではなく、
一線級で活躍している人がいかに楽しんで仕事に取り組んできたか、また取り組もうとしているかを見て、学生に『「好きなこと」を「仕事」にしよう』をということを伝えています。
よく「好きなことは仕事にしないで、趣味にとどめておいたほうがいい」という意見を聞きますが、僕はそうは思いません。仕事には、趣味と違って責任があり、社会に求められているからこその喜びを得られるからです。(P3)

これから就職する人、何かを創作している人におススメです。
片山正通教授の「好きなこと」を「仕事」にしよう (CASA BOOKS)
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やりたいことをやるというビジネスモデル―PASS THE BATONの軌跡 GLAMOROUS PHILOSOPHY NO.1 高城 剛と考える 21世紀、10の転換点 しかけ人たちの企画術 Music for instigator Compiled by Shinichi Osawa


本書より

佐藤可士和
時間もお金も無限ではないから、どこに投資をするかっていうことがすごく重要です。(P40)

セブンイレブンの仕事
そうですね、5年間ぐらい経つと、日本の風景を変えるぐらいのところまで行けるんじゃないかなと思っています。(P59)

クリエイティブの力って、まだぜんぜん、世の中で使われてないじゃないですか。ここにいるみんなも、美大の中にいるから日々、考えるきっかけがあると思うけど、世間にでたら、みんな驚くほどクリエイティブのことなんて、考えてないもん。(P68)

中田英寿
それで、だいたい男の子は野球かサッカーのチームに入ることが多かったんです。ぼくも、じゃあどちらに入ろうかと考えたとき、当時、野球は坊主にしなきゃいけないことも多く、練習も毎日あるし、ちょっとしんどそうだったので、サッカーを選びました(笑)。(P82)

サッカー業界が大きくなって、ビジネスとしてサッカーに関わる人たちが増えて、選手も純粋にサッカーを楽しむというより、お金を稼ぐ手段としてビジネスライクに考えたり有名になることの方が目標に為ったりする人が多くなってきているように感じて・・引退

3年間ずっと海外をまわっていて気づいたことのひとつは、自分が日本人であるということでした。海外で出会う人の中で、ぼくのことを「元サッカー選手」だと知っている人もいます。でも多くの人にとっては、ぼくはまず「日本人」です。だからみんな、日本のことを知りたがるんですよ。(P100)

NIGO
完全に自分のためにつくってますね。自分が好きなときに行けるカフェ、思いついたときに行ける美容室。そんなふうにまずは自分ありきでものをつくっています。(P156)

そもそも共感してくれる人って、ほんの一握りだと思っているんです。おそらく9割以上はぼくのこと苦手で嫌いだろうなってずっと思ってる。そう思ったほうが、何か言われたりしても、ぜんぜん気にならないし、自分の好きなことができたりするので。でもまわりを見ていると、他人の評価につぶされちゃう人も多いです。(P173)

本広克行
テレビは抗議が多くてクリエイターを委縮させて、面白くなくなっている
映画はテレビシリーズの劇場版を作りすぎて従来の映画ファンの足を離れさせていったのが原因