勉強術と名の付く書籍は多い。

それらは、何かしらの結果を出している人、死ぬほど勉強してきた人たちが著しているわけで、
そこまで大きな違いはでないし、たとえ表面上違いがあったとしても、目指していることは一緒だったりする。

結局はその人が本気で勉強しようと思っているか、また合うか合わないかということになる。


30歳にして自分に合う勉強本を見つけたかもしれない。

つーわけで『合格る技術』を読んだ。
合格(ウカ)る技術
合格(ウカ)る技術宇都出雅巳

すばる舎 2011-02-22
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試験に最短で合格する術を教えよう・・・という本。


勉強_5

著者は?

宇都出雅巳
1967年京都生まれ。高校3年夏の東大模試でのF判定から、独自の勉強によりわずか半年で東大文2に現役合格。卒業後、経済雑誌記者、営業システムコンサルタントを経験後、1998年にニューヨーク大学スターンスクールに留学、2000年にMBA取得。その後外資系銀行を経て2002年にトレスペクト経営教育研究所を設立、同代表に就任し現在に至る。

NLP(神経言語プログラミング)マスタープラクティショナー・CPCC(公認コーアクティブ・コーチ)としてコーチングやコミュニケーション研修を行うかたわら、20年以上にわたる速読経験などをベースに試験勉強法を研究。
2002年に1ヵ月でCFPR試験に全6課目一発合格、2011年には2ヵ月で行政書士試験に一発合格。どちらもメルマガやブログで試験勉強のプロセスを実況中継し、自信の勉強法を自ら実践・検証している。(本書著者紹介)

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7冊目の著作。
本書はタイトル通り、著者の読書術勉強術の流れにある著作で『速読勉強術』 と基本的には同様ですが、焦点を”合格”に絞ったものになっています。対象が絞られているためか、より具体的になっており、より行動に移しやすい内容になっています。またタイトルが絶妙です。
著者略歴で前回と変わっているのは、高校生時代の勉強のエピソードが追加されていることと、資格試験の合格実績です。大学生が手に取ることを想定して、高校時代のエピソードを足したんでしょう。学参コーナーにも置いてほしいですもんね。ブログメルマガの話を出してみたり、若干の商売っ気が出てきたのでしょうか(笑)


がんばらないから合格できる

テキスト問題集をたくさん揃える、予備校の講座をたくさん受講する、わからないところはわかるまでやる、などがんばっていませんか?
がんばってしまうと長続きせず、もっと気楽に無駄な努力をなくし効率的に合格しましょうと著者はいいます。
試験勉強はあくまで「試験に合格するための勉強」です。そこから離れて、「勉強すること自体」に溺れてしまって、そこでがんばっても自己満足になるだけえす。勉強は試験勉強で終わりではありません。あなたが本当にやりたい勉強、実務や仕事に役立つ勉強は、試験に合格したあとにゆっくり勉強すればいいのです。(P26)
試験勉強の目標は合格すること、そのことを忘れずに、合格に必要な分だけ勉強しましょうということです。がんばって勉強するのではなく、勝手に勉強しちゃう状態に持っていくため、いつでもどこでも勉強できる状態になることを理想としています。


がんばらない勉強法

・何を勉強するかに迷わないように、読む対象を出来る限り絞る
・過去問から取り組む
・わかろう、覚えようとしない
・わかるところとわからないところ、覚えているところと覚えていないところをわける
・わからない状態をつくる
・テキストの目次を記憶する
・いつでも、どこでも勉強する
基本的には『速読勉強術』 と同じ勉強法(高速大量回転法については『速読勉強術』を参照)になりますが、本書で強く著されているのが「わける」ことです。
わからなくても気にせずにとにかく何度も速く読む、対象に接しつづけて慣れていくというのが高速大量回転法です。
それを行う上で、覚えようなどとはしないけれど、その替わりに、わかるところとわからないところ、覚えているところと覚えていないところをわけていきながら読むということです。
「わける」ことを繰り返すなかで、「覚えているところ」の記憶は定着し、だんだんと「覚えていないところ」のなかから「覚えているところ」が増え、記憶が進んでいきます。(P51)


試験はまず過去問から

『速読勉強術』にもあった、試験はまず過去問からということが、なぜなのかの説明と実際の読みすすめ方がより具体的に著されています。
すぐに実践できる方法ばかりであり、説得力もあるため、すぐに使ってみようとなります。

■なぜ過去問からはじめるのか
目的は勉強をすること、対象に詳しくなることではなく、まず試験に合格することなのだから、常に試験の形をいしきしておくことが、何より大切です。
また、過去問から始めることでわからない状態がつくられ、何がわからないのかがわかり、わからない部分を解消しようとさらに読むという流れがつくられます。
あなたがこれから試験の合格を目指して勉強をはじめるときに最初にやるべきこと。それは、その試験の過去問、つまり、これまでの試験問題を手に入れることです。(P66)

■選択試験は過去問だけでも合格できる
試験に合格することが目的なので、満点を取る必要はなく、合格点をとるだけであれば、過去問だけを押さえれば合格できます。
難問も基本問題も配点に変わりはないので、「勉強する」こと自体が目的になってはまりこんで勉強しまうことに気をつける必要があるということも著されていました。

■過去問をどのようにすすめるか
1回分だけ切り離す→わからないのは当たり前なので、まずは過去問を解かずに読む、眺めることからはじめる→問題を見たら解こうとしないですぐに解答解説を読む→「わける」ことをしながら読む→正答スピードを意識してすすめる→気になる言葉を過去問に大きく太く書き込みする→わかったところはマジックで消す→とにかく回転させる→範囲を徐々に増やす
を繰り返していくのが一連の手順になります。
すぐに解答解説を読むので、問題のすぐあとに解答がついている過去問題集が最適ということです。
ノートは不要で、何か書く必要があったら過去問題集の余白に直接書くこと、間違っている選択肢は正しい文章に変えるということなどいろいろな細かなテクニックも満載です。使えそうです。本書に著者が実際に使った過去問が載っているのですが、本当にでっかくバツだったり文字だったりが書かれて汚くなっていました。
「問題」を見ると、ついつい「解こう」としてしまいがちですが、グッとこらえましょう。「解く」必要はありません。少ない知識の中で、あれこれ考えて解こうとするのは時間の無駄です。(P74)
同じ「わからない」でも、「何がわからないかもわからない」状態と「何がわからないかはわかっている」状態の間には大きな違いがあるのです。(P59)


まとめ

本書の柱は

目的は合格すること!
とにかく過去問!過去問!

というものと読みました。
繰り返しになりますが、はじめに過去問に取り組むことが試験に最速で合格するためのカギです。
しかし、実際には多くの人が過去問に取り組むことをいつの間にか避けてしまいます。
過去問がいかに大事かわかっていても、あれこれと理由をつけてすぐにやめ、テキストを読みはじめる人がなんとも多いのです。(P128)
選択式試験は過去問だけでいいとする本書ですが、記述論述式試験はテキストを真1冊まるごと暗記する必要があるとしています。
本書の後半半分弱はそのテキストの読み方が解説されていますが、過去問から取り組むのは変わらず、どのテキストを選ぶかの助けになるメリットもあるということです。こちらは、目次を暗記することからはじめて、それをキーとしてテキストを覚えていき、覚えたら自己講義して話してアウトプットする手順となっています。これは『速読勉強術』にもあった勉強術です。
良書である『速読勉強術』 と併せて読むといいと思います。高速大量回転法が自分に合う人は、勉強術本はこの2冊で問題ないです。基本は対象の過去問、テキストに多く触れること。頭の中で自分で思い出すことでテキストがなくても勉強すること。これは勉強の絶対時間数を増やせということでもあり非常に正統派な勉強法だと思います。
勉強法としては「邪道」である「合格る技術」も、試験合格法としては直球ど真ん中の「王道」です。(P223)


資格試験を考えている人、すべての受験生におススメです。


実践すること、覚えておきたいこと

がんばらない勉強法全般を次の資格試験勉強で使う

目次記憶からテキストに取り組む
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本書より

試験勉強はあくまで「試験に合格するための勉強」です。そこから離れて、「勉強すること自体」に溺れてしまって、そこでがんばっても自己満足になるだけえす。勉強は試験勉強で終わりではありません。あなたが本当にやりたい勉強、実務や仕事に役立つ勉強は、試験に合格したあとにゆっくり勉強すればいいのです。(P26)

かなりの問題は「知っているか/知らないか」が「解ける/解けない」の違いです。(P77)

1回や2回読んだだけで「できない」「わからない」と落ち込まないこと、そして、「基本からやらねば」と、がんばってテキストなどを読もうとしないことです。(P78)

「範囲をどこまで絞り込むか・広げるか」というのは、試験に合格するかどうかを左右する、キモと言ってもいいほどのポイントです。(P81)